職務経歴書における活かせる経験・能力の書き方

「転職のハナシ」はサイト運営のため複数の企業と広告提携をおこなっています。
当サイトの一部のリンクについては、そのリンクを経由しサービス利用があった場合に掲載企業から当サイトへPR報酬を受ける場合があります。ただし当サイトは報酬の有無にかかわらず公平な情報評価をおこなっており、報酬の有無が企業のサービス解説に影響を及ぼすことはありません。

企業が応募者の職務経歴書で最も注目する部分は職歴です。
転職者には即戦力を求めるため、企業としては実際の職務経験を知りたいのです。

しかし職歴は業務内容を客観的に説明するコトが重要なため、どうしても情報の羅列になりがちで、アピールポイントが分かりづらくなるという欠点もあります。

そこで現在の職務経歴書においては『職務経歴』の次に、『活かせる経験・能力』といった枠を設けて応募企業に具体的な経験や能力をアピールするコトがスタンダードになっています。

今回は押さえておくべきポイントを踏まえ、具体例を交えながら『活かせる経験・能力』の書き方を解説したいと思います。

応募求人に求められる内容

まず理解しておくべきコトは、『活かせる経験・能力』とは応募企業で活かせる経験・能力という意味であり、あなたの職務経験において応募企業が求める経験・能力だというコトです。

初めて転職する方に多いのが、今までの職務経験から主観的に自分の強みだと認識している経験や能力をアピールしてしまうパターンです。

例えば営業職へ転職する場合、自分は提案力に自信があるからと『顧客の現状分析を元にした説得力のある提案スキル』を活かせる経験・能力として書く転職者がいます。

しかし重要なコトは求人要項の仕事内容や求める人物像、歓迎する経験・スキルなどで提案経験や提案能力が求められているかどうかが重要です。

もし顧客が新規開拓の経験・能力を求めていた場合、あなたのアピールする経験・能力は的外れとなり、書類選考を通過するコトはできないでしょう。

もし提案力も踏まえてアピールしたいなら、『新規アプローチから提案まで製造業へ絞った一貫した営業経験』とすれば、相手企業はあなたの新規アプローチというキーワードに引かれて話を聞いてみたいと思うはずです。

自分の『活かせる経験・能力』を真っ先に考えるのでなく、まずは応募企業が転職者に求める経験や能力を求人票から知ることが第一なのです。

職歴の内容を踏まえて書く

応募企業の求める経験・能力を知ったからといって、すぐに『活かせる経験・能力』を書き始めるのはちょっと待ってください。
次にやるべきことは、先に書いている『職務経歴』の内容を踏まえているかという点を考えることです。

例えば、先に『職務経歴』を次のように記載していたとします。

■職務経歴

2012年4月~2017年5月 株式会社マルマル
事業内容:転職サイトの運営/人材紹介事業 資本金:1000万円 従業員数:500名

期間 業務内容
2012年4月~2017年5月 メディア事業部 第一営業課 (所属メンバー50名)

中小企業を中心とした転職サイトにおける求人広告の営業。新規開拓、顧客提案、フォロー営業を担当。

【顧客】
約300社を担当(製造・小売・ITを中心とした中小企業)
【商品】
正社員向け転職サイト『マルマル』における求人広告枠
平均単価80万円、掲載期間4週間
【営業活動】
新規開拓7割、フォロー営業3割
新規アプローチとして50~100件/日のテレアポ
提案における顧客訪問、資料作り、プレゼンテーション
【実績】
2016年第4四半期:達成率106%(売上目標2400万円)
2016年第3四半期:達成率110%(売上目標2000万円)※月間MVP獲得
2016年第2四半期:達成率103%(売上目標1800万円)
2016年第1四半期:達成率125%(売上目標1600万円)

この場合、採用担当者はこの職歴を前提に『活かせる経験・能力』を読み進めています。

事例の職務経歴からイメージ出来ることは、新規営業を中心とした求人広告営業マンであり、目標達成の実績から意欲も高い人材なのではと考えます。
さらに法人顧客を300社持ち、80万円の単価に対して3ヶ月毎に2000万近くの売上を達成している点や、7割がテレアポでの新規アプローチで資料作りやプレゼン経験から単純なモノ売り系でなく提案型の営業職である点も理解しているはずです。
営業としては業務量含めハードな環境で揉まれており、行動力があるコトも十分に想像できるはずです。

もちろん、この職歴に興味を持たない担当者もいるはずですが、この職歴に興味を持っている担当者なら次の『活かせる経験・能力』を読むはずです。
そこで忘れてならないのは、担当者は『職務経歴』を見てから『活かせる経験・能力』を見ているという点です。

もしここで『活かせる経験・能力』の内容として、「チーム力を活かした営業経験」や「既存顧客のニーズを掘り起こす顧客アプローチ」等と書いてしまっては、職務経歴との一貫性も無く、読み手は肩透かしをくらってしまいます。

書くとしたなら、「リスト集めを工夫した新規開拓アプローチ経験」、「売上達成に向けた自己の行動管理能力」、「素早いレスポンスや頻繁な訪問による新規顧客との信頼構築スキル」等とするべきです。

職務経歴を踏まえた上で、応募企業に対してアピールポイントを絞って伝えるのが『活かせる経験・能力欄』の役割です。
この点を踏まえると『活かせる経験・能力』単体でなく、職務経歴書全体として一貫性の高い応募書類となります。

箇条書き方式と文章方式がある

具体的に『活かせる経験・能力』は3~5つ程度に絞るコトが重要です。
あれも、これもと書いていては1つ1つのアピールポイントについての専門性が疑われますし、読み手としても応募者の印象が曖昧になってしまいます。

書き方に関しても、箇条書きにて1つ1行で書く方式と、タイトルと3~5行程度の文章で書く方式があります。

箇条書き方式

箇条書きの方式は、シンプルで見やすいため担当者の理解が早く、応募求人の求める要件を満たしていた場合は面接で具体的に聞きたいと思わせるのに効果的です。
反面、言葉足らずになるため担当者の琴線に引っかからないリスクや応募に対するやる気を疑われる可能性もあります。

具体的な事例として次のようになります。

■活かせる経験・能力

  • 業界紙でのリスト収集と100件/日のテレアポを組合せた新規開拓営業の経験
  • 1週間単位での売上達成を実現するための行動力と自己管理能力
  • 製造業での業界ニュースや訪問頻度を考慮した新規顧客との信頼構築能力

固有名詞や数字を利用すれば、短い文章の中でも強いアピールができます。
業界特有のキーワードを利用すれば、面接においてその内容について質問される可能性があるので上手く質問をコントロールできます。

文章方式

文章で表す方式は状況や取り組みを詳細に伝えられるので、より強いアピールが可能になり、読み手の心に引っかかる可能性が高まります。
その半面、冗長になりがちで要領を得ない内容となる危険性や斜め読みされる可能性もあります。

具体的な事例としては次のようになります。

■活かせる経験・能力

◯新規開拓経験

新規開拓を中心とした営業活動を行ってきました。アプローチする業界を製造業に絞り、業界紙に掲載されている企業を中心にアプローチリストを作成し、業務拡大による異業種での人材採用という切り口のトークで1日100件を目標としてテレアポを行いました。結果、1週間での新規アポ件数を以前の3倍にすることに成功しました。

◯自己管理能力

求人広告は毎週新規求人が掲載されるため目標は1週間単位となっており、如何に効率的に行動するかが鍵でした。顧客数・受注単価・受注件数・訪問件数などを全て数値するコトし具体的な行動に落とし込みました。さらにリスト作成・資料送付・メールフォロー等をアシスタントに代行してもらう事で短い期間でも売上達成に成功しました。

◯信頼構築能力

新規訪問から受注につながる為に顧客との信頼構築に力を入れてきました。製造業に関するニュースを独自にまとめた資料を1週間に一度作成し、それを持って再訪問を行いました。顧客によって訪問頻度レベルを3段階に分けることで押し売りに感じられないようアプローチ頻度を調整し、ニーズが出た時にはすぐに連絡がくる関係性をつくりあげました。

固有名詞や数字を使いながらもエピソードを盛り込むことで具体的にあなたの経験や能力をイメージでき、さらにあなたの価値観や取り組みといった適性も伝えられます。

注意点としては斜め読みされる可能性があるため、見出しをつけてアピールする経験・能力については3つ程度におさえ、1つのアピール内容は3~5行程度の文章量にするコトです。