転職するのに求人が多い時期は有利なのか?転職データから検証

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求人数が多い時期は応募できる求人が増えるため転職に有利なはずだと思う人は多いはずです。しかし本当にそうなのでしょうか?求人が増えるということは、それだけライバルである転職者が増えることになります。

そこで求人数と転職者数の関係性を見つけ、真実を知る為に次の転職データを示したいと思います。

  • 年間を通じて求人が多い月
  • 年間で転職者が動く月

上記の2つの転職データだけでも転職活動を行う上で十分な参考データとなりますが、今回はさらに2つのデータから明らかになった転職する上で本当に有利な時期と狙い目の時期までをお伝えします。

求人が増える時期は年間で2度ある

まずは年間を通じて求人が多い時期を見ていきたいと思います。

次のグラフは全国求人情報協会が公開している、求人広告掲載件数のデータ基に当サイトで作成したものです。

求人サイト、有料求人情報誌、フリーペーパー、折込求人紙といった主要な求人メディアを網羅した内容であり転職市場における求人数を反映したデータと考えて下さい。

2012年から2015年の求人広告掲載件数のデータ。平均値として求人件数が多い月は3月、9月、10月、11月。平均値として求人件数が少ない月は5月、8月、12月、1月。

出典:全国求人情報協会|求人広告掲載件数

2012年から2015年の求人数を月別に表したもので、色違いの棒グラフは年度毎の求人数を、中央の折れ線グラフはその平均値となります。どの月に求人が増えるかという傾向は平均値である折れ線グラフを見ると理解しやすいです。

求人が多いのは3月と9~11月

このグラフから求人数は3月と9~11月が最も多く、逆に5月、8月、12月、1月は求人数が少ないという傾向が見て取れます。

この時期に中途採用の求人が増えるのは退職者が出るコトと、企業側の採用計画が動くからです。それぞれについて簡単に説明すると共に求人の特徴もお伝えします。

退職者を埋める求人

転職市場では夏と冬のボーナスを貰ってから退職をする人が多いです。その為、ボーナスが支給される6月、12月前後に転職活動を行い会社に退職を告げるのが1~3ヶ月後になります。

そこで企業としては穴が空いた人員を埋めるために3月、9~11月に募集を行うのです。

採用計画に沿った求人

日本では大手企業を始め3月決算の企業が多く、人員計画もそれに沿って行われます。つまり4月新年度の組織体制に合わせて必要な人材を募集するのです。

そして折り返しである6ヶ月目に上半期の振返りを含め、下半期の採用計画が始まるので3月、9月に募集が行われます。特に3月は年度末の採用目標数を達成するために求人募集がかかります。

出て来る求人の特徴

求人が多い時期の募集は退職者や採用計画に沿ったニーズなので、通常の経験者だけでなく管理職や専門職の募集も多数出てきます。

業績好調な企業が上半期や下半期のタイミングで新規事業や事業拡張を見込んで募集を行う為、魅力的な仕事内容やポジションの募集も多いです。

近年では新卒が採用できない企業が秋口から社会人経験3年以内の第二新卒に切り替えて募集を行うことも多く、4月の新卒と一緒に研修を行うために1~3月に募集を行う事例も見られます。

転職者の動きは連休とボーナスが鍵

次に転職者のデータから年間を通じてどの時期に転職者が動くのかを見ていきます。

次のグラフは大手転職サイトdodaが発表している転職データを基に当サイトで作成したグラフです。2014年4月から2016年3月までの2年間の転職希望者数の平均値を月別に表したものです。

グラフの動きがそのまま転職者の動きが活発な時期と考えて下さい。

2014年4月から2016年3月までの2年間の転職希望者数の平均値推移。平均値で転職希望者数が多い月は1月、2月、3月、6月、7月。平均値で転職希望者数が少ない月は4月、5月、8月、12月。

出典:doda(デューダ)|転職求人倍率レポート

最も転職者が動くのは1~3月

グラフ内で赤字の枠線をつけた1~3月は他の月に比べて特に転職者の動きが活発なことがわかります。次いで転職者が動くのが6月、7月になっています。

転職者の動きは企業の求人の動きよりも分かりやすく、グラフから転職者心理において次の3点が浮かび上がります。

  • 連休がある月は動かない
  • 夏ボーナスが発生する6月、7月に動く
  • 冬ボーナスと繁忙期が過ぎた1月、2月、3月に動く

まとめると、多くの転職者は連休とボーナスという2つ要素によって転職行動を起こしていることが見て取れます。

ライバルとの競争を考える

転職を考える多くの人は連休を避けボーナスを貰ってから動くという事がわかりましたが、逆を言えばあなたもこのような思考と同じように転職活動をしてしまうという事になります。

そこで連休前から書類作成や応募を行う、ボーナス時の退職期間を避けるといった行動により、ライバルに一歩差をつけることや競争に巻き込まれずに転職活動を行うことが可能となります。

転職に有利な時期はいつ?

ここまでで求人の多い月と転職者の動く月が明らかになりました。そこで先の2つのグラフを合わせる事で、転職に有利な時期を見ていきたいと思います。

次のグラフは先の求人広告件掲載数の平均値である折れ線グラフ部分のデータと、転職希望者数のデータを合わせたものです。両データとも12月が最も数値が低いので12月を基準として2つのデータを重ねています。

このグラフは縦軸である数値に違いがあるので、数値上の比較でなく月毎の推移の傾向を見るためのグラフだと考えて下さい。

求人数と転職者数の推移。求人数と転職者数で最も差がある月は3月、次いで9月、10月、11月。

2つのデータの重なりにおいて、月毎の開きが大きい部分は赤字の矢印で表しています。求人数と転職者数の開きがあるということは、それだけライバルが少ない中で多くの求人に応募できる有利な月という事です。

これまでの結果を踏まえて以降で幾つかの視点を持って転職に有利な時期を解説します。

9月はライバルが少なく求人数が多い

多くの転職者にとって赤字の矢印がある3月、9月、10月、11月はライバルが少なく求人が多いので転職に有利になります。矢印の大きさから特に9月は転職に最も有利な月だと分かります。

年度始めと連休の関係で転職者数が減る4月、5月、8月、12月に次いで転職者数が少ない時期にも関わらず求人の件数が年間で3月、11月に次いで3番目に多いです。

つまり多くの転職者において9月が転職時期として圧倒的に有利な時期だと言えるのです。

実は4月も狙い目

求人と転職者の差が大きいほど有利だとお伝えしましたが、それ以外の月は転職に不利な時期という事でしょうか?

答えはNOです。求人数が少ない時期とありますがそれは他の月と比べた場合です。そもそも2016年現在では求人数自体が多いので、その点で不利な時期とは言い難いです。

次のデータは2013年と2016年の求人広告掲載件数を比較したデータです。2013年はリーマンショックで転職市場が最も底冷えした2009年以来、有効求人倍率が1倍を超え景気が回復し始めたと言われた時期です。

2013年と2016年の求人広告掲載件数を比較したグラフ。2016年の1月、5月、8月の求人数は2013年の其々1.7倍以上。

求人数が少ない1月、5月、8月でさえ2016年現在の求人は2013年の1.7倍以上はあります。

別の見方をすると、求人数自体は十分にあるのでライバル転職者が少ない時期こそ狙い目だとも言えるのです。その視点で先の比較表をもう一度見ると転職者数が少ない4月は実は転職時期としては狙い目なのです。

4月は転職者の少なさが目立ちますが、求人数自体の落ち込みはそれほどではありません。次のような転職において課題がある方にとっては転職を有利に行える時期だと言えます。

  • 未経験者
  • 年齢が高い
  • 実績が少ない
  • 転職回数が多い

5月、12月はライバルとの競争を回避

先の4月の例で言うならば、転職者数が少ない5月や12月はライバルとの競争を避け転職活動が行える時期だと言えます。

連休を挟むため多くの転職者が避ける月なので、スケジューリングや休日を活用した自己分析、書類作成など上手く行えば転職を有利に運べます。

1月、2月は魅力的な求人が多い

転職者が多い月は厳しいと思いがちですが、先に説明した求人の特徴通り1月、2月は企業の採用計画に沿った魅力的な求人が多い時期でもあります。

仕事の幅を広げたい、裁量があるポジションに転職したい、条件の良い大手に転職したい等のキャリアアップを目的とした方には非常にチャンスが大きい時期です。

転職で求人の多い時期のまとめ

データを踏まえて、転職において求人と転職者の多い時期、有利な転職時期を解説してきたので最後にまとめておきます。

  • 求人が多い時期は3月、9月、10月、11月
  • 転職者が増える時期は1月、2月、3月、6月、7月
  • 9月は多くの転職者にとって有利な時期
  • 4月は転職時期として狙い目
  • 5月、12月はライバルとの競争が避けられる
  • 1月、2月はライバルが多いがメリットも大きい

データに基づいて考察をしてきましたが、転職は出会いや縁です。転職したいと思った時、応募したいと思った時は是非その想いをエネルギーに変えて転職活動を行って下さい。

その際、転職の成功に向けて今回紹介したデータや考察を活用していただければと思います。