転職で採用される志望動機のつくり方は3要素のピラミッド

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志望動機に関して次のような不安や悩みはありませんか?

  • 志望動機が全く浮かばない
  • つくってはみたが自分でもしっくりこない
  • 会社のブランドや待遇に惹かれているがそれはさすがに言えない

これは多くの転職者が抱えている問題です。そして、志望動機について企業の採用担当者は「本気度が感じられない」、「どこでも言えるような内容だ」、という理由で不採用にする事が非常に多いです。

私は転職エージェントとして数多くの転職者の志望動機を共につくりあげてきました。その経験から、採用される人の志望動機にはある共通点がある事を見つけました。

具体的には、採用される人の志望動機は3つの要素を含んだピラミッド型であるという事です。

今回、あなたが採用される志望動機をつくることができるようその3つの要素からなるピラミッドについて解説したいと思います。

企業が志望動機を聞く理由

具体的なつくり方を教える前に、企業側が志望動機から何を見極めるのかを知る必要があります。まずここを理解しておかなければ、いくらつくり方を知っても真の意味で採用される志望動機はつくれません。

仕事、友人、恋愛などの人間関係などと同じで何を言えば良いかというマニュアルだけでは相手に響きません。そもそも相手が何を考え、何を元にあなたを判断しているのかの基準を知る必要があるのです。

長く活躍する人が欲しい

企業が志望動機から知りたいコト、それは『長く働けて活躍できる人を採用するため』です。当たり前すぎて、肩透かしだった人もいるかもしれません。

ただ志望動機をつくりはじめると、この分かりきった原則を無視していつしか「この表現は印象が悪いなぁ」、「こう言えば真剣味が伝わるかも」などと言葉尻ばかりを気にすることになるのです。

その結果できる志望動機はあなたをアピールするどころか、薄っぺらな内容であなたの評価をおとしめるものになってしまいます。そこで、この原則を次のような具体的なポイントに分けてみました。

  • 会社への依存度が高い人を見つける
  • 応募者に仕事への意欲があるか確かめる
  • 応募者の望む働き方と会社とのマッチング

以降でこのポイントを解説します、まずはこれら企業側が見ているポイントをしっかりと理解した後で、具体的な志望動機のつくり方を解説していきます。

会社への依存度が高い人を見つける

志望動機から企業が真っ先に見ているのが、会社への依存度が高い人かどうかという人です。

知名度がある会社や待遇が良い会社には、そのブランドや条件にひかれて応募する人が多いです。有能だと思って採用しても、実際は会社に依存して成果を生み出さない人だった、などはよくある話です。

具体的には、求人の仕事内容は二の次にで、売上や規模、会社の知名度、給与や福利厚生といった条件に強く引かれて応募して来た人です。

このような人は、入社後にどのように働いていくかを考えていないばかりか、募集職種の仕事内容をしっかりと理解していないレベルの人が多いです。

たしかに仕事をする上で知名度は大きな武器ですし、条件の良さにひかれる事も担当者は理解しています。しかし、それだけを魅力に感じて応募して来た人を企業は採用したいと思いません。

そのような知名度や条件に甘えること無く、むしろそれらを糧にして仕事にチャレンジし成果を出してくれる人を企業は採用したいと思っているからです。

応募者に仕事への意欲があるか確かめる

次に説明するのは「意欲」、つまりやる気が感じられるかどうかという事です。

経験や能力はもちろん重要ですが、やる気によって成果に大きな違いが出るコトはビジネスシーンでよくあります。さらに理不尽でストレスが多い仕事もやる気があるからこそ乗り越えられる事は、あなたも仕事の経験から理解されていると思います。

企業もその点はよく理解しており、個人のやる気や能力に業績が左右される中小企業はもちろんですが、中堅や大手企業のマネージャーを始めとする管理職も「やる気」を非常に重要視しています。

中途採用は新卒と違って、書類審査や面接を行うのは彼らのような現場責任者です。中堅や大手になるほど組織における目標値と評価が明確な為、管理職にとっては成果を生み出せる「やる気」をチェックしているのです。

ウチみたいに業界でそれなりのポジションにいると、社内外で利用できるリソースが多いから、やる気があれば結果は出しやすいんだけど、中々面接でやる気を感じられる人はいないですよねぇ。

仕事のやり方やポイントは教えられるけど、本人のやる気を引き出すのは簡単じゃないから、マネジメントする側としてもやる気のある人は経験が無くとも面接では期待しちゃいますね。

これは、ある大手企業のマネージャーが採用に関する打ち合わせで言った言葉です。この言葉からも企業側が、如何に応募者の「やる気」を重要視しているかがお分かりになると思います。

応募者の望む働き方と会社とのマッチング

最後にお伝えするのが、応募企業の望む働き方が自社で実現可能かという点です。

例えば、20代からマネジメントに携わる仕事につきたい転職者と、管理職は30代からと決まっている会社では、どんなに能力や人柄がマッチングしてもいずれ退職することは明らかです。

せっかく採用しても辞めてしまっては意味がありません。そうならない為にも応募者が望む働き方が会社に合っているのかを企業はしっかりと見ています。

書類や面接では限られたスペースや時間で、応募者のキャリアプランを聞くことになるので、「入社した後に自分が思っていた働き方ができないとわかりました。」という声は意外に多いです。

この点においては、企業側だけでなくあなた自信が企業に自分の望む働き方をアピールすることで転職リスクを減らすという考えを持つ必要があります。

依存度、やる気、マッチングに関して簡単ですが説明してきました。企業はこれらのポイントを見極めるために志望動機を聞くのです。この前提を理解した上で、次はいよいよ志望動機をつくる具体的な方法をお伝えします。

志望動機は3つの要素からなるピラミッド

結論から先に申し上げますと、採用される志望動機は次の3つの要素を含んだ3段ピラミッドの構造をなしています。

  • やりたいコト
  • 活かせる経験やスキル
  • 働く環境としての魅力

具体的には、図のように「やりたいコト」を頂点とし、2段目に「経験やスキル」、土台となる3段目には「働く環境」というピラミッド型です。

志望動機のピラミッド

察しの良い方はお分かりかと思いますが、頂点の「やりたいコト」を2段目、3段目が支える形で志望動機をつくるのです。この形で志望動機をつくると、説得力が高く、使い回しのきく志望動機ができるのです。

それでは、順番にこのピラミッドの要素を説明し、さらに具体的な要素の見つけ方を解説します。

できる限り分かり易く伝えるよう努力はしていますが、ボリュームがあるので初めての方にとっては一度で理解する事が難しいかもしれません。

しかし、あなただけの採用される志望動機をつくる根幹であり非常に重要な部分です。何度も読み返ししっかりと理解して下さい。

頂点はやりたいコト

まずは頂点である「やりたいコト」です。この部分が志望動機の核となる内容です。2段目の「経験やスキル」、3段目の「働く環境」はこの頂点を支える為に存在しています。

この「やりたいコト」こそ、企業が見極める依存度、やる気、マッチング全てをクリアする為に必要なのです。面接でもこの部分を深掘りされるということは、採用にドンドン近づいていく事だと理解して下さい。

やりたいコトって何?

このやりたいコトと聞いてあなたは何を思ったでしょうか?「転職して年収を上げたい」、「残業の無い会社に転職したい」など色々と思うことはあるでしょうが、この「やりたいコト」は仕事内容に限ったものです。

例えば、SEで要件定義や基本設計だけでなく実装含めて関わっていきスキルの幅を広げたい、営業職で売り切りでなく長期的な関係にて大きな単価で提案していく商品を扱いたい等です。

ただガチガチのキャリア志向や、身の丈に合わない大きなビジネスを語れという事では無いです。この辺りは、後ほど「やりたいコト」の見つけ方でご説明しますが、その前に「やりたいコト」における注意点を先に説明します。

応募者と企業の普遍のルール

仕事内容に限ると言うと、「年収を上げたい」、「残業を減らしたい」などは駄目ですか?と聞かれることがあります。

もちろん、それを転職における目的にするのは自由です。ただ、志望動機におけるやりたいコトでそれを語るのはNGです。一部の例外を除いて不採用一直線です。

そもそも転職における普遍のルールとして、企業は利益を得るために転職者を採用します。そして、採用しただけでは給与や管理コストが増えるだけで利益どころか損失になります。

企業としては転職者に仕事で成果を出してもらう事で損失を超えた利益を得るのです。この普遍のルールに沿って考えると、仕事で成果を出すコトを転職の目的としている人こそ企業が採用したい人なのです。

WIN-WINを考える

しかし、ただ仕事に限ったやりたいコトと言っても「マーケティングがやりたい」、「簡単な入力業務がやりたい」では駄目なのです。

ここは、ビジネスでも良く使われるWIN-WIN(ウィン-ウィン)を基本として考えるのです。WIN-WINとは簡単に説明すると、双方が利益を得られるような取引や状態の事です。

先のマーケティングがやりたいでは、転職者としては良いかもしれませんが企業にとって転職者にマーケティングをやらせて成果が出るかが全く伝わりません。具体的にどのように成果を挙げるのか?また成果を挙げられる根拠がわかりません。

簡単な入力業務は転職者にとって負担が少ないですが、企業は派遣や外注にした方がコストや雇用保証の面でもメリットが大きいです。何より、中途採用者には高い利益を生む仕事をさせたいのです。

「やりたいコト」は仕事においてあなたと企業双方においてWIN-WINでなければならないのです。

それは求めてないですよ

そして、何より重要な事は「やりたいコト」が応募企業先で実現できなければ採用されません。先に説明した20代でのマネジメント業務を希望するなどもそうです。

ビジネスレベルの英語力、募集職種の営業経験、海外勤務経験を備える転職者が、国内向けの機械部品メーカーに応募したとします。将来は海外勤務にて新たな市場開拓をしていきたいと伝えたとします。

しかし経営陣の判断で向こう3年は国内市場に注力すると決定している場合、この転職者を採用するメリットは無いです。

たしかに将来的や短期でも景気の変動によって、海外へ目を向ける可能性はありますが、中途採用では直近の成果を重んじます。しかも、海外勤務が無い可能性に転職者が見切りをつけて辞めてしますリスクが高いと判断します。

このようにやりたいコトが明確且つ、利益を生む可能性が高くとも、募集企業のニーズから大きく逸脱した内容では採用されません。

やりたいコトの見つけ方

仕事でやりたいコトと聞くと、「そんな立派な考えなんて無い」、「働いていて強い目的意識なんて持ったことはありません」、などやりたいコトは無いとおっしゃる人も多いです。

ここでは、具体的な「やりたいコト」を見つける方法を解説します。すでに、それは持っているという方も今一度お伝えする方法で考えて下さい。ここでの深掘りこそ、採用される志望動機に欠かせない部分だからです。

あっ!これ好きかも

仕事をしていく上で興味を持ったコトや、つい力を入れていることはありませんか?その他、嬉しかったコト、やりがいのあった仕事などです。実は、ここに「やりたいコト」が隠れているのです。

営業職のHさんは不動産会社の営業マン、厳しいノルマと会社のプレッシャーに耐えながら新卒入社から1年間頑張ってきました。もう限界だと転職エージェントを訪れたHさんは社会人としての自信をすっかり無くしていました。

僕みたいな営業はどこも雇ってくれませんよね。そもそも転職だって今の会社を辞めたいからする訳だし、元々新卒の時も何かやりたいコトがあって入社した訳じゃないんですよね。

そこで私は「今まで仕事をしてきて、何一つでも嬉しかったコトや面白かったコトはありませんか?」と聞くと、今までよりも饒舌に語りだしました。

新規でお客さんの所へいく時は楽しいですね、仕事のほとんどがテレアポなんで。そういう時は先輩に不動産運用で儲かっているお客さんの話を聞いたり、業界雑誌やネットで金融関係のデータを集めて持って行くんですよ。

訪問するのは資産運用が目的な人達なんで、商品でなく話やデータに興味を持ってくれるんですよ。ただ、家賃収入意外にもFXをやりたいとか、住宅の金利はどうなっているか教えてくれとか、商品以外の話になったりするコトも多いんですけどね。

そういう時は嬉しいですね。商品の事じゃなくても、自分を頼ってくれるんで後で調べたデータを送ったりしています。でも上司には見込みが無いから追うなとか言われて、また新規のテレアポに戻るっていう流れです。

恐らくHさんはご用聞きのように長い時間を掛けて関係を深めていく営業に向いているのでは無いかと思いました。

そこで、産業機械の営業の求人をお伝えしました。町工場や機械部品メーカーを訪問し、長い時間を掛けて信頼をつくっていく仕事です。仕事のスタイルもHさんが楽しいと言っていたスタイルに似ている部分が多いです。

後日Hさんは面接で、『情報提供やヒアリングを中心とした長期間に渡る顧客関係を築く仕事』という切り口で志望動機をつくり、見事内定を手に入れました。

新規事業を立ち上げたい、海外営業にチャレンジしたいなどレベルの高い目標を無理に持つ必要はありません、日頃の業務の中で自分が興味ある部分にこそ、あなたが転職で次にやってみたい仕事のヒントがあるのです。

不満や苛立ちこそやりたいコトの表れ

「やりたいコト」はそれができない時に不満や怒りに変わってきます。働く中で、不満や怒りもまた「やりたいコト」を探すヒントになります。ここではメーカーから委託され商品を設計製造する会社で働く機械設計エンジニアのWさんの事例で解説します。

Wさんの会社は承認を始めとした報告・連絡・相談の徹底がされていました。何をするにも承認が必要で実質意味のない調整に時間が取られ仕事が進まない結果、残業や休日出勤をする社員が多いとの事でした。

Wさんも最初はそのような不満を持って転職エージェントを訪れました。今の会社のやり方は無駄が多く、残業や休日出勤が多くて身体がもたない。もっと効率的な職場で働きたいとの事でした。

しかし、話を聞いていると実は非効率な仕事の進め方が不満では無かったのです。本当は、コンセプトを含む製品設計である上流工程という領域の仕事をしたいとの事だったのです。

Wさんの会社はメーカーから依頼を受け製品を製造し、実際の製品はお店ではメーカーの商品として販売されます。メーカーからは商品コンセプトを元に基本的な仕様が決まったレベルで依頼がされてきます。

既に方向性や仕様が決まっており、その中で具体的な製品にする為の設計がWさんの仕事でした。しかし大学時代の友人は大なり小なりメーカーにて上流工程に携わっておりそれが羨ましかったのです。

設計エンジニアとしてコンセプトから仕様などの上流工程を担当したいが会社は委託専門で行っており、発注元のメーカーに提案するどころか意見を言うことさえできない環境です。

Wさんは次第にそういった仕事ができない不満や苛立ちを、非効率な業務しかできない会社のせいだとすり替えて考えるようになったのです。

最終的にWさんは新興の家電メーカーに転職しました。その企業は開発スピードが非常に早く、日々新しい商品の設計に追われる職場で残業や休日出勤も以前の会社よりも増えてしまいました。

それでもWさんは、上流工程に携われる仕事に転職できた事を非常に喜ばれていました。

不満や苛立ちは「やりたいコト」ができない事への表れの可能性もあります。また、Wさんのように不満や苛立ちの原因が、やりたいコトにつながっていると理解していない人も多いです。

一度、冷静になり自分をふり返る事で「やりたいコト」が見つかる可能性もあります。

とにかく多くの求人を知る

最後の「やりたいコト」を見つける手段は、多くの求人を知るというコトです。

考えても自分の「やりたいコト」どうしても見つからないという人もいます。そしてその原因の多くは自分がやっている仕事以外を知らないからなのです。

特に多いのが、キャリアが袋小路になっている人です。キャリアの袋小路とは何なのでしょうか?ここではEさんの事例を使って説明します。

Eさんは28歳の女性で都内のアパレルショップで店長をやっています。不景気もあるがそれ以上にブランドの人気も落ちてきており、ボーナスカットを始め給料も3年間で全く変わりません。

20歳でアルバイトから店長までなりましたが、この先がありません。商品企画、PRやプレス、バイヤーやMDなどアパレルの花形職種は本社勤務で会社の方針として実質大卒以上でないとなれません。

複数の店舗を管理するスーパーバイザーになるにも、後2店舗での店長経験が必要であり現実的ではありません。何より、20歳の時は好きだったブランドも何度もリニューアルをして今では自分の趣味ではありません。

最も致命的な事がアパレル販売への興味が無くなっていることです。別のブランドで働く友人に聞いても同じような状況で、むしろみんな辞めていくと聞いて別のショップへの転職も諦めています。

実は、Eさんのように職種、年齢、性別に関わらずこのようなキャリアの袋小路になる人は多いです。企業が成長も停滞もせず、人事システムを疎かにしている企業では企業内で身動きが取れなくなる人が多いのです。

通常は転職することで解決を図るのですが、Eさんのように経験職種で「やりたいコト」も無く、宙ぶらりんの状況も珍しくありません。

そこで私はEさんでも採用される可能性のある、アパレル販売を除くありとあらゆる業種、職種の求人票を50程渡しました。そして求人票に全て目を通して1週間後にまた面談に来て下さいとお伝えしました。

1週間後、Eさんは2だけ興味がある求人があると面談に訪れました。1つは口コミで評判の60名程の化粧品メーカーの営業職、もう1つは女性向け情報サイトの広告営業です。

Eさんは自分が営業職に興味を持つなど考えても見ませんでした、Eさんの持つ営業のイメージはとにかく頭を下げて商品を買ってもらうというものでした。

しかし、求人票では企業にタイアップ企画を提案、店舗での販促企画、大手ドラックストアとの交渉業務などと記載がありました。もちろん最初からこのような仕事ができるとは思っていませんが、それでも可能性があるなら是非やってみたいと思ったのです。

結局Eさんはこの2社でなく、女性向けの雑貨メーカーに営業職として入社しました。この会社では、入社して半年は営業アシスタント、商品カスタマーサポートとして働き、それ以降は営業職として都内のアパレル・雑貨チェーンを回るのです。

社内では営業から商品企画、バイヤー、販売サイトなどに部署異動した人やその逆もあり、仕事や将来の広がりが感じられるとEさんはおっしゃっていました。

このようなキャリアチェンジにおいて応募者は、最初その仕事に対して興味が無かったと言う人が多いです。実際、自分の過去の仕事の中に「やりたいコト」がない人も多いです。

それ故、考える事も必要ですが、何より数多くの求人を見る事が重要なのです。求人サイトでも自分の経験職種、業種以外を見て少しでも興味が湧いたら、「やりたいコト」が隠れているのかもしれません。

例えは良くないですが、食事でも何が食べたいか考えるよりも外へ出て店を見て回れば、何が食べたいか自然と決まったりします。「やりたいコト」も考えるのでなく、知ることから始めてみてください。

2段目は自分の経験が活かせる

2段目は「活かせる経験やスキル」です。ここでは志望動機をつくる上でなぜ経験やスキルを盛り込むのかという点、そして活かせる経験やスキルの見つけ方という2点に絞って解説します。

志望動機に経験やスキルを盛り込む理由

転職で経験やスキルが重要なのは十分に理解できると思います。しかし、それらは職務経験や自己PRとしてアピールすべきで志望動機に直接的に盛り込むのは間違っていると思われている方が多いです。

あなたもそう思ったのなら、その思い込みは捨てて下さい。志望動機において経験やスキルは重要な役割を担っています。

やりたいコトの説得が増す

経験やスキルは、あなたが今まで歩んできた仕事の歩みなのです。この過去の歩みが、ピラミッドの頂点である「やりたいコト」に説得力を持たせるのです。

経験とスキルが活かせるという事は、応募する仕事に対する適性があり仕事で成果を挙げる事ができるという事です。「やりたいコト」があり成果を生み出せると言う流れは非常に理にかなっています。

ただ、この経験やスキルだけを志望動機にすると意欲が感じられなくなるので注意して下さい。例えば企業に対する広告営業の募集で下記の2つの志望動機を見比べれば一目瞭然だと思います。

御社で営業経験を活かせると思ったので応募しました。
営業経験を活かした店舗連動型の提案営業を行いたく応募しました。

1つ目に意欲は感じられません、何ならどの会社でも同じことが言えます。2つ目は明確に「やりたいコト」があり、尚且つ営業経験がある為、それがリアルに感じられるはずです。

このように「経験やスキル」は「やりたいコト」を支え、強い説得力を生みます。

5W1Hで接点を見つける

さて、先程の事例は理解しやすい為に簡易的な表現にしました。実際は同じ営業でも業種だけでなく会社が変われば、必要となる経験やスキルに違いがでます。

さらに、実際中途採用では応募してくるライバル達は同じような経験やスキルの人たちです。その中で、単に営業経験では差別化も「やりたいコト」の説得力も生みません。

むしろ、キャリアチェンジで業種や職種が未経験の人にとっては不利になります。そこで、「やりたいコト」に説得力を持たせるためには、応募企業で必要となる経験やスキルにフォーカスしてアピールします。

具体的には応募職種とあなたの仕事を5W1Hのフレームワークに沿って分解して、その接点を見つけるのです。

補足しておくと、5W1Hとは元々ジャーナリストが記事を書く時に意識するポイントで、次の6つの英単語の頭文字を取ったものです。

  • 誰が/誰に(Who)
  • どこで(Where)
  • いつ(When)
  • 何を(What)
  • 何故(Why)
  • どのように(How)

次の図に当てはめるように、5W1Hの視点を持って仕事を分解していくのです。

5w1hのフレームワーク

実際に、投資用不動産の営業から医療機器営業へキャリアチェンジする人がその仕事の接点を見つける例を考えてみます。どちらの営業も業界で良くある営業内容にて考えています。

誰が/誰に(Who)

まず医療機器営業は、営業先として医師はもちろんですが院長、理事長、事務長がターゲットですが上手く取り入る為に看護師なども広い意味では営業先です。

投資用不動産の営業は主に富裕層です。その中には医師の方もいるので共通点ですが中心であるとは言えません。その意味では共通点は少しある程度です。

どこで(Where)

場所に関しては、医療機器営業は担当地区の病院になります。不動産の方は担当地区での個人宅や企業経営者なら事務所となるので、ここでの共通点はありません。

いつ(When)

「いつ」に関しては、顧客との取引期間という視点で考えてみましょう。医療機器はメンテナンス含め入換を行う可能性があります、病院を拡張するなら新たな機器も必要になるため、長期的な関係が必要です。

投資用不動産については、個人での投資なので資金が潤沢な極一部の富裕層とは長期の関係になります。また友人などをご紹介頂ける可能性もあります。ただ、多くは追加購入やサポートを必要としません。

そういった意味では契約までは長期に渡る可能性があるが、一部を除いて購入後の関係は希薄の為、共通点は少ないです。

何を(What)

医療機器と投資用不動産の共通点としては、目的や機能よりも高額である事に注目します。医療機器は小さなものは数千円から高額な機器だと億単位のものもあります。

対して、投資用不動産は個人ですと数千万単位ですが、億単位では限られてきます。しかし、高価格帯の商品という意味では共通点があります。

何故(Why)

「何故」に関しては、顧客が商品を購入する目的を考えます。医療機器では医療行為を行うため、病院経営という観点では設備投資です。

投資用不動産は基本的に個人が家賃収入を得ることを目的とした投資です。病院における設備投資とはその意図が違うのでここでは共通点は無いです。

どのように(How)

「どのように」に関しては、営業職なので営業スタイルと捉えます。医療機器の営業は病院に何度も足を運び、最初は少額の取引でも、いずれ高価格帯の機器を契約してもらうため長期的な関係を築いていくスタイルです。

かたや投資用不動産は電話を中心に数多くアプローチし、見込み客をつくっていきます。余程優秀な営業マンでない限り毎月コンスタントに契約していくことは難しいです。

そういった意味では粘り強くアプローチし続けるスタイルは共通点です。

2つの要素の志望動機

さて、5W1Hの内容をまとめたのが次の図です。共通点がある項目にマル印を、ない項目にはバツ印、状況による場合などは三角をつけています。

5w1hのフレームワーク、応募職種と現在の職種の比較

この図を見る限りでは投資用不動産の営業から医療機器の営業に転職する際は、主に商品、スタイルを中心に経験やスキルがアピールできる事が分かりました。

これを元に「やりたいコト」頂点と考えた志望動機をつくるなら次のような内容が考えられます。

高価格帯の商品を顧客に粘り強くアプローチしてきた経験を活かし、御社で長期的な関係を基本とした提案型の営業職に従事したいと思い応募しました。

もし「やりたいコト」だけで志望動機をつくったなら次のようになります。

長期的な関係を基本とした提案型の営業職に従事したいと思い応募しました。

どのように仕事がしたいかは分かりますが、投資用不動産の営業から医療機器の営業への応募としては、唐突な感が否めません。次に経験だけで志望動機をつくったなら次のようになります。

高価格帯の商品を顧客に粘り強くアプローチしてきた経験を活かせると思い志望しました。

企業側としては活かせるかもと思うかもしれませんが、そもそもどんな仕事か理解しているのか?他の営業でも活かせるのでは?と疑問を持たれてしまいます。

つまり最初にお伝えしたように、「やりたいコト」を「活かせる経験やスキル」で補足することで説得力が増すのです。この2段のピラミッドでも十分通用する志望動機になっています。

土台となるのは働く環境

ピラミッドの3段目は「働く環境としての魅力」です。先程、2段のピラミッドでも十分な志望動機になるとお伝えしました。しかし、この「環境の魅力」で補足することで応募企業に対する唯一無二の志望動機ができあがるのです。

ただ、ここで注意する点が2つあります。それは、同じような募集の競合他社でなくその会社ならではの内容にする事と、待遇や条件などを「環境の魅力」にしないという事です。

ウチじゃなくてもいい

実際に先程の志望動機を伝えた場合、面接官によっては敢えて意地悪な質問をしてくる可能性があります。それは、次のような質問です。

それだと他の医療機器メーカーでも同じですね、ウチじゃなくてもいいんじゃないですか

この質問を回避、又は納得して貰うためにはこの会社の仕事内容や商品などで他社と差別化を図っている部分を理解しておきます。

やりたいコトを支える環境

もう1つの注意点は依存度に気をつけるという事です。

「働く環境としての魅力」と聞くと、多くの人が給与や福利厚生などの待遇を考えます。他にも大手で認知度やブランド力があるから営業がやりやすい等と考えるのです。

そのような会社に依存する考えは捨てて下さい。最初の企業が見極める点でも述べましたが、依存度の高い人は即不採用となります。重要なことはWIN-WINであることを忘れないで下さい。

1段目の「やりたいコト」、2段目の「活かせる経験やスキル」で企業側にとってWIN-WINの人材と感じて貰っているのです。この「環境の魅力」もそれに合わせて、「やりたいコト」を通じた成果を挙げる為に魅力的な環境だとアピールするのです。

仕事にフォーカスした独自性

引き続き投資用不動産の営業を例に考えてみます。

会社の顧客、商品、進め方など仕事内容に関わる部分での違いを見つけるのです。仕事内容という点が重要です。仕事を通じた成果を挙げることを基本にしているのですから、「環境」に関してもそこにフォーカスするのです。

実際に3段目を加えた例が次になります。

現職は個人に対する高価格帯商品の営業の為、テレアポを始めとした数多くのアプローチを長期に渡って粘り強く続けて来ました。その経験を活かし、御社での長期的な関係を基本とした提案型の営業職に従事したいと考え応募しました。

加えて、カテーテルからX線CT診断装置までの幅広い商品を扱っておられるので営業職として訪問や提案の機会があるのも魅力的な点です。

企業側の商品ラインナップの広さをその会社ならではの点として、さらにそれが「やりたいコト」を通じた成果に結びつく事を魅力に感じていると伝えています。

結果として、下記のような3つの要素からなるピラミッドを形作る非常に説得力の高い志望動機をつくりあげる事ができました。

志望動機のつくり方のまとめと参考ページ

採用される志望動機のつくり方に関して解説してきましたが、実際に志望動機は履歴書、職務経歴書、面接といった場で必要になります。その場合は、そのシーンに合わせたつくり方のノウハウが必要になります。

加えて、このページは解説に特化しているので、具体的な例文が少ないです。その点も含め、近日中に履歴書、職務経歴書、面接での志望動機のポイントや志望動機の書き方と例文をまとめたページの公開を予定しています。

合わせてこのページで書いた内容は転職において非常に重要な為、より分かりやすさを追求すべき継続的に加筆・修正していきます。

大変申し訳ありませんが、今しばらくお待ち下さい。