職務経歴書におけるキャリア式の書き方

「転職のハナシ」はサイト運営のため複数の企業と広告提携をおこなっています。
当サイトの一部のリンクについては、そのリンクを経由しサービス利用があった場合に掲載企業から当サイトへPR報酬を受ける場合があります。ただし当サイトは報酬の有無にかかわらず公平な情報評価をおこなっており、報酬の有無が企業のサービス解説に影響を及ぼすことはありません。

キャリア式という職務経歴書の書き方を知っていますか?
職務経歴書では職歴を時系列に記載する編年体式が一般的に採用されているため、キャリア式に関する情報は少ないです。

今回は職務経歴書におけるキャリア式について見本を参考に基本的な説明から、どのような転職者が採用すべきか、また具体的な書き方のポイントまで解説します。

キャリア式とは?

キャリア式とは職務経歴書における職歴の書き方の1つです。
最初にもお伝えしたとおり職務経歴書に関しては、編年体式という時系列に沿って職歴を記載する方法が一般的です。

キャリア式とは職歴について編年体式のように時系列でなく職務、領域、プロジェクト等の特定の切り口に沿って職歴を記載する方法です。
例えば転職経験があり各会社にて営業、経理、一般事務を経験した場合、編年体式のように時系列で職歴を書くとキャリアの一貫性が見えずアピール力が弱いばかりか、忍耐力がない人というレッテルを貼られる恐れがあります。

そこで営業職、経理職、一般事務職という職務区分で職歴を表記すれば、それぞれの職務における専門性をアピールでき読み手としては求める能力を判断しやすいのです。

キャリア式の見本

言葉で解説するよりも実物を見るほうが理解は早いと思いますので、次に転職を2回経験し3社の中で営業と事務を経験した人の職歴を掲載します。

この職務経歴書の見本について、直近の職種は事務職ですが営業職の求人に応募するという前提のもと営業職の業務内容をメインに記載しています。

■職務経歴

  • 2011年4月~2012年3月 株式会社シカク 営業職(1年)
  • 2012年4月~2016年3月 株式会社バツバツ 営業職(2年6ヶ月) 事務職(1年6ヶ月)
  • 2016年4月~現在 株式会社マルマル 事務職(1年)

【営業職の経験】

◯株式会社バツバツ 事業内容:転職サイトの運営 従業員数:500名

業務内容
メディア事業部 第一営業課 (所属メンバー15名)

中小企業を中心とした転職サイトにおける求人広告の営業。新規開拓、顧客提案、フォロー営業を担当。

【顧客】
約120社を担当(製造・小売・ITを中心とした中小企業)
【商品】
中途採用向け転職サイト『バッツン』における求人広告枠
平均単価40万円、掲載期間4週間
【営業活動】
新規開拓9割、フォロー営業1割
新規アプローチとして150件/日のテレアポ
提案における顧客訪問、資料作り、プレゼンテーション
求人広告におけるコンセプト設計
制作部との連携/制作物チェック/納品管理
【実績】
2016年度:売上1800万円(達成率:104%)
2015年度:売上1200万円(達成率:98%)

◯株式会社シカク 事業内容:機械部品の専門商社 従業員数:85名

業務内容
法人営業部 (所属メンバー10名)

工作機メーカーに対する営業。既存顧客を対象とした農耕営業に従事。

【顧客】
約200社を担当(町工場から大手企業まで工作機メーカーを担当)
【商品】
工作機械に使用する製造部品
取扱数:約3000点
【営業活動】
既存顧客に対する商品提案及び納品管理
PowerPointを使用した提案資料作り及びプレゼンテーション
Excelを使用した商品の納品管理
【実績】
2011年第4四半期:達成率96%(売上目標1650万円)
2011年第3四半期:達成率90%(売上目標1500万円)

【事務職の経験】

◯株式会社マルマル 職務内容:一般事務職にて在庫管理/伝票管理/電話対応を経験

◯株式会社バツバツ 職務内容:一般事務職にて労務管理/電話対応を経験

キャリア式は次の転職者におすすめ

基本的な説明と見本を見て、何となくでもキャリア式についてお分かりになったと思います。それではどのような転職者が、このキャリア式を採用するべきなのでしょうか?

主に次の転職者はキャリア式を採用した方が、自身の職務経験をアピールしやすいです。

  • 複数の職務経験があり時系列だとアピールポイントがブレる
  • 応募求人と接点がある職歴が直近の仕事内容では無い

転職や異動で複数の職務について経験をしていれば、オールラウンダーな人材と捉えられますが、それだけ特定の職務領域における専門性についてはアピールが弱くなります。

転職においては応募する職務の経験や専門性が重要であり、経営層や事業部長クラスでもなければ幅広い職務経験をアピールするメリットはあまり無いのが現実です。

さらに応募職務の経験があったとしても、それが直近の職務ではなく数年前の場合、即戦力として採用することを躊躇する企業側の考えは当然だといえます。

そこで応募求人に共通点のある職務内容毎に職歴をまとめるコトで、読み手が求める経験や能力を強くアピールするコトができるのです。

このように複数の職務経験を持つ転職者や、直近の職務では無い求人への応募を行う転職者にとってキャリア式はおすすめの書き方なのです。

エンジニアや専門職だからキャリア式はNG

よくエンジニアや専門職といった特定の知識や技術が重要な職種に関しては、キャリア式で書いたほうが良いと言われるコトがあります。

たしかに特定の職務領域や技術分野に分けて職歴が書きやすいため、エンジニアや専門職がキャリア式を採用するのは理にかなっています。
だからと言って全てのエンジニアや専門職がキャリア式を選択すべきというのは間違いだと言えます。

職歴を時系列に表記したとしても業務やプロジェクト毎に顧客、製品、知識、技術、開発環境といった要素を整理して記載すれば十分にスキルのアピールは可能です。

日本ではスキルや経験も重要ですが、その前提において組織人としての資質を強く求める傾向があります。そのため在籍期間や転職回数から組織人としての適性を判断するのです。
ハッキリと言ってしまえば転職回数が多い・在籍期間が短いといった場合は、何かしら問題のある人では無いのかと疑われてしまうのです。

そのような考えがあるため、転職者のキャリアストーリーを判断しやすい編年体式の方が、職務経歴書の書き方としては万能型と言えるのです。
自分はエンジニアや専門職だからと盲目的にキャリア式を採用する必要は無いので、その点は注意してください。

キャリア式の書き方

それではキャリア式の書き方について、ポイントを押さえながら解説していきます。
先ほど掲載した見本をベースに次の3つのポイントで説明したいと思います。

  • 時系列にて所属企業と職種を簡単に列挙
  • 職務を大分類、所属を小分類として業務内容を書く
  • アピールが弱い職務経験は簡易的に表現

時系列にて所属企業と職種を簡単に列挙

キャリア式は特定の職務毎にキャリアを書いていくため、そもそも時系列でのキャリアが分かりづらいです。
そこで職務経歴欄のはじめに、所属企業毎に期間と担当した職種を記載するコトで、あなたの職歴の全体像を伝えます。

特に職種は年数と合わせて記載することで、そもそもどのような職務経験を何年行っていたのが明確になります。
網羅性を重視して各社1行程度で表してください。

先に掲載した見本ので言えば、下記が該当箇所になるので書く時の参考にして下さい。

■職務経歴

  • 2011年4月~2012年3月 株式会社シカク 営業職(1年)
  • 2012年4月~2016年3月 株式会社バツバツ 営業職(2年6ヶ月) 事務職(1年6ヶ月)
  • 2016年4月~現在 株式会社マルマル 事務職(1年)

職務を大分類、所属を小分類として業務内容を書く

はじめに簡単な所属と期間を書いた後は、具体的な職務内容になりますが、キャリア式の書き方としてオーソドックスなのは職種毎にキャリアを書いていく方法です。

例えば営業職の経験、プログラマの経験、経理職の経験といった具合に職種毎の職歴を書くのです。
今回の場合ふくめ、良くあるパターンとしてA社とB社で同じ職種を経験しているような場合です。その場合は『営業職の経験』というくくりの中で所属企業毎に業務内容を記載して下さい。
所属企業が違えば同じ職種でも業務内容に違いが出るからです。

その際はそれぞれの所属企業名、事業内容、従業員数など働いていた環境がすぐに分かる会社情報を記載してから業務内容を書いて下さい。見本における該当箇所を下記に抜粋しておくので、参考にしてください。

【営業職の経験】

◯株式会社バツバツ 事業内容:転職サイトの運営 従業員数:500名

業務内容
メディア事業部 第一営業課 (所属メンバー15名)

中小企業を中心とした転職サイトにおける求人広告の営業。新規開拓、顧客提案、フォロー営業を担当。

【顧客】
約120社を担当(製造・小売・ITを中心とした中小企業)
【商品】
中途採用向け転職サイト『バッツン』における求人広告枠
平均単価40万円、掲載期間4週間
【営業活動】
新規開拓9割、フォロー営業1割
新規アプローチとして150件/日のテレアポ
提案における顧客訪問、資料作り、プレゼンテーション
求人広告におけるコンセプト設計
制作部との連携/制作物チェック/納品管理
【実績】
2016年度:売上1800万円(達成率:104%)
2015年度:売上1200万円(達成率:98%)

◯株式会社シカク 事業内容:機械部品の専門商社 従業員数:85名

業務内容
法人営業部 (所属メンバー10名)

工作機メーカーに対する営業。既存顧客を対象とした農耕営業に従事。

【顧客】
約200社を担当(町工場から大手企業まで工作機メーカーを担当)
【商品】
工作機械に使用する製造部品
取扱数:約3000点
【営業活動】
既存顧客に対する商品提案及び納品管理
PowerPointを使用した提案資料作り及びプレゼンテーション
Excelを使用した商品の納品管理
【実績】
2011年第4四半期:達成率96%(売上目標1650万円)
2011年第3四半期:達成率90%(売上目標1500万円)

アピールが弱い職務経験は簡易的に表現

キャリア式で職種毎に職歴を書く場合、応募求人へのアピールとして弱い職種が出てくるはずです。
今回の見本例で言えば、営業職への応募になるので事務職の職歴に関してはアピールの必要性が低いです。

もし事務職の経験についても、営業職の経験同様の分量で書けば職歴のボリュームが膨大になり、自己PRや活かせる経験・能力といった他に書くべき内容のスペースが無くなってしまいます。

それどころかせっかく営業職にフォーカスして職歴を書いたにも関わらず、全体としてキャリアの一貫性が無く、文章としても冗長な印象を与えてしまいます。

そこで応募求人に対して接点が少なくアピールできない、職務経験に関しては簡易的に記載しておきます。こちらも所属企業毎に1行程度で職務内容を書けば十分です。
見本での該当箇所は次になるので、参考にしてください。

【事務職の経験】

◯株式会社マルマル 職務内容:一般事務職にて在庫管理/伝票管理/電話対応を経験

◯株式会社バツバツ 職務内容:一般事務職にて労務管理/電話対応を経験

まとめ

キャリア式の書き方について見本をベースに基本的な内容、キャリア式を採用すべき転職者、書き方のポイントについて説明してきました。

正直キャリア式は職務経歴書の書き方としては珍しい書き方です。一般的には時系列をベースにした編年体式、逆編年体式の方が採用担当者には馴染みが深いです。

先に説明した通り、複数の職務経験がある場合や直近の職務が応募求人と接点が無い場合などを除けば、書き方に注意すれば編年体式や逆編年体式を採用した方が良い場合が多いです。

次のページで編年体式、逆編年体式について解説しているので確認してください。

過去から現在という時系列で表示する編年体式については次のページで解説。
職務経歴書の編年体式とは?書類選考を通過する書き方まで解説!

現在から過去という時系列で表示する逆編年体式については次のページで解説。
職務経歴書で逆編年体式を採用すべき3タイプの転職者とは?

その上でキャリア式を採用するかを検討しても遅くはありません。