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「転職は何月がおすすめとかあるんですか?」これは、転職のお手伝いをしているとよく聞かれることです。結論を先に申し上げると幅を持たせて2~3月と9~10月がおすすめです。なんと、年間通じて2回も転職に良い時期があるのです。
ただ、実はこの2つの時期は普通に転職活動をしていては失敗する確率が高い時期でもあるのです。今回は、その理由と失敗しないための具体的な転職活動の取組み方をお伝えします。
目次
求人広告の掲載数から見る求人の多い時期
転職をする時期として何故良いのか?そして何故失敗しやすいのか?それをお伝えする前に、実際どのくらい求人数が違うのかを公表されたデータをもとに見てみます。
次のグラフ図は、公益社団法人全国求人情報協会が発表した求人広告掲載件数の内容を基に当サイトでオリジナルに作成したグラフ図です。
2012年1月から2016年8月までの年間を通じた求人広告掲載数を年別に比較したものです。ここで言う求人広告とは折込求人、フリーペーパー、求人サイト等です。
データ出典元:公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」」
全ての年で年間を通じて2~3月、9~10月に求人数が増えているのが見て取れると思います。
このグラフ図からも、2~3月と9~10月は中途採用の求人が年間を通じて最も多い時期だということが分かります。
求人が多い理由は企業の採用事情と応募者の転職事情
求人が多いのは事実としてお分かりになったと思いますが、なぜその2つの時期に増えるのでしょうか。それは企業側の事情と応募者の事業があります。
企業側が抱える採用事情
まず、企業側としては採用活動を行う上で以下の事情があります。
- 4~7月は新卒採用をメインで行う為に中途採用まで手が回らない
- 年末の12月は採用以外の仕事も増えるため忙しい
- 年末年始を挟む為に選考が途切れるため好ましくない
- 8月はお盆休みを挟む為に選考が途切れるため好ましくない
応募者が抱える転職事情
次に応募者側には以下の事情があります
- 7月、12月にボーナスが出ない事がきっかけで転職を考える人がいる
- 7月、12月にボーナスを貰って辞める人がいる
- 8月のお盆休みや12月の年末など長期の休みが終わってから転職活動をする人が多い
以上の理由から、企業と転職者の事情が一致して2~3月、9~10月の求人が増えているという訳です。
求人数の増加は転職に大きな影響を及ぼす
2~3月と9~10月が転職の時期としてメリットが大きいと同時にデメリットも大きいとお伝えしました。ここでは、そのメリットとデメリットを考えてみます。
求人数が多いことは転職の機会とキャリアプランの広がりに繋がる
求人数が多いことのメリットは大きく2つあります。
- 1つ目は、応募条件に合う企業が増える転職の機会が増える
- 2つ目は、多くの求人を比較検討することで転職の視野が広がる
1つ目の応募条件に合う企業が増えるとは、単純に応募できるチャンスが増えることです。
特に、異なる職種にチャレンジする未経験の転職者や中高年の転職といった転職市場で比較的厳しい条件の方にとってはこれは非常に重要なことです。
2つ目の転職の視点が広がること、これが実は多くの転職者にとって重要な部分だと個人的に思います。
まず、転職エージェントに相談に来られる方の多くは現在の仕事から近い範囲での転職を考えています。中途採用は即戦力が基本なので、当たり前と言えば当たり前なのですが、実際はもっと視野を広げた転職も多いです。
例えば、投資用不動産の営業から医療機器の営業、業務ソフトウェアのSEから人事コンサルタント、広告営業から外資系の事務職など一見接点がなくとも募集企業の求める人物像と応募者の適性や志向などが一致すれば転職は成功します。つまり視野を広げることで、今回の転職含め、キャリアプランが広がるということです。この考えは、後ほどお伝えする具体的な転職活動時に発揮することになります。
ライバルが多く、時期ごとの厳しい転職環境が存在する
次は、デメリットについて解説します。求人数が増えるということは、その分応募者であるライバルも増えるということです。
特に、魅力的な求人には多くの転職者が殺到します。その分、倍率が高くなり採用が遠のいてしまいます。さらに、それぞれの時期において、特有の転職環境があります。
2~3月の求人は4月、遅くとも5月の入社を見込んでいる企業が多いため、選考のスピードが早く募集が打ち切りになるスピードも早いです。
9~10月は下半期の経営計画を支える為の中途採用を行う企業が多く、採用のリミットが2~3月に比べ余裕があるため、採用ハードルが上がり、選考にも時間をかけるところが多いです。
まとめると、共通してライバルが多いこと、2~3月はスピードを要求されること、9~10月は書類、面接の対策が必要なこととモチベーションを保つことが必要なのです。
2~3月はスタートダッシュで掛け抜けろ
それでは、ここから具体的なスケジュールと取組についてお伝えします。最初は2~3月期からです。
4月入社に向けて企業は採用を焦っている
それでは、この時期に採用活動を行う企業はどのような採用背景を持っているのでしょうか?それは下記のようなものです。
- 未経験層やキャリアの浅い若手層を採用して、4月入社の新卒と一緒に研修を行いたい
- 4月決算で本年度の目標である採用予定人数に達していないので、何とかこれを達成したい
- 4月からは新卒採用がはじまるので、中途採用は3月までに選考を終わらせる必要がある
つまり、時間的なリミットがあるので、普段よりも選考基準が甘くなるケースが多いのです。その反面、選考のスピードが早く、採用枠がすぐにうまるので募集のしめきりも早くなります。
正月休みを含めた1月の行動で全てが決まる
攻略のポイントは2月の大量募集時点で、履歴書や職務経歴書などの応募書類を用意でき、面接に呼ばれてもすぐに対応できるようにしておく事です。そのため、1月中に自分の経歴の振返りをしっかりと行い、どのような企業に応募するのかの方向性を決めておくことです。そうすれば十分な用意がされていない他の転職者に、大きく差をつけることができ採用を勝ち取ることができます。
2~3月期の具体的な転職スケジュール
具体的には以下のようなスケジュールで進めます。
1月のスケジュール
重要になってくるのは自己分析になります。転職の自己分析は新卒時の人間性に軸足をおいたものでなく下記の3点を中心に行います。
- 自分の経歴をふり返りスキルや実績を整理すること
- 将来に向けたキャリアプランを描くこと
- 具体的な応募企業との接点を見つける
転職における自己分析はまた別の記事で説明しますが、今はこの3つを行うということを理解して頂ければ十分です。
さて、この自己分析は転職者にとって負担が大きいが、外せない大切な作業です。この時期はスピードを求められるため、3段階で行うことでスピードを担保して質を高めます。
まず、年末年始の正月休み含めた1周目は自分の経歴をふり返ると共に、将来の方向性を考えます。この時点では具体的な応募求人や予備情報が少ないので、経歴のふり返りに重点を置いて下さい。これが自己分析の第一段階です。
2週目から転職エージェントを活用します。現在の業界を取り巻く転職市場、キャリアプランの助言、そして具体的な求人とその企業の詳細を聞きましょう。これが、自己分析の第二段階です。自分の経歴ふり返りがしっかりできていれば、その情報を伝え、より的確で詳細なキャリアプランを示してくれます。
3週目からは2月の本格的な求人に向けて、転職エージェントから紹介された求人にいくつか応募すると共に、自分でも求人サイトなどを使用して求人を探して下さい。転職エージェントとの面談で、キャリアプランの方向性が決まっているので、1人でも求人サイトを利用して応募先を探せます。できれば、1月中に面接を一度でも行えることが理想です。これは、内定を貰うというよりも経験を積んでおくためです。実際、2月から求人が増えるにしたがって、自分にとって魅力的な求人も出てきます。しかし、それが初めての面接では非常に危険です。
具体的な求人に合わせて、書類選考、面接を受けることが自己分析の第三段階です。転職エージェントを通した応募に関しては、不採用の場合でもその理由をエージェントがヒアリングしてくれます。実はこれが自己分析の重要な材料になるのです。机の上でいくら頭を使っても転職は成功しません、転職の現場である面接はこの時期に一度は受けて下さい。
2月のスケジュール
ここからが本番です。魅力的な求人含め、数そのものが増えてくるので、希望に合う企業には出来る限り応募してください。1月中に行動によって、企業を選ぶポイントや選考対策もできているので、現在の仕事のスケジュールに合わせて転職活動を進めてください。応募の数をこなして振返りを行うことで転職活動の力がつくので、次に受ける企業の合格率はグッとあがります。3月に入ると、現在の仕事が忙しくなり、転職活動が滞る方も多いので、この2月中に応募数を確保することが重要です。
3月のスケジュール
さて、2月中に内定が出ずとも焦らないでください。まず前提として、3月から採用を開始する企業は、その多くが4月入社でなく5月入社を見越しています。加えて、大手の採用募集とバッティングを避けてきた企業が募集を開始します。特に、知名度は無いが技術力や商品シェアがあるような優良企業や伸び盛りのベンチャー企業など増えてくるので、3月からは規模や知名度に関わらず応募の視野を広げることで、思わぬ転職の出会いがあります。
以上が、2~3月期の転職活動のスケジュールです。募集は2~3月ですが、1月含めて活動が重要です。
基本に忠実な9月と視野を広げた10月で激戦を乗り切る
それでは次に、9~10月期から具体的な転職活動の流れをお伝えします。
9~10月期のポイントは、転職活動の王道を進む9月と視野を広げた変化球の10月、加えて11月に選考がズレ込む可能性が高いため、
人材の採用ハードルが最も高い時期
この時期に採用活動を行う企業には以下のような募集背景があります。
- 新卒採用が終わり、本格的に中途採用が始まります、外資系を含む12月決算の企業はリミットがあり採用のスパートをかけます
- 4月決算の企業にとっては年度の折り返しで、経営計画の見直しから経験や能力のある人材が必要
- ボーナス時期が終わり業務経験のある人材から退職者が出る時期なので補充が必要
- 4月入社の新卒の退職と新卒3年目以内の若手が年度節目にキャリアを考えて退職している為、年齢構成ピラミッドを考えて補充が必要
つまり、企業側は中途採用に集中できる環境で、募集内容が企業経営に関わるため、普段よりも選考基準が厳しくなるケースが多いのです。その反面、大量応募と厳選採用により選考のスピードが遅く、採用枠がすぐにはうまらないので求人募集の期間が長いです。さらに、転職活動も11月まで伸びる可能性があります。
人材の採用ハードルが最も高い時期
攻略のポイントは大量募集と厳選採用による採用ハードルの高さへの対策と、選考が長くなることに対するモチベーションや体調管理に気をつけることです。具体的には、自己分析に力を入れ転職を軸を固めた上で、同業種×同職種の応募だけでなく、異業種×同職種まで視野を広げることです。
そのため、8月中から自己分析をしっかりと行い、9月は同業種×同職種を中心に応募、10月は異業種×同職種を中止とした応募など区切りを付けて行います。そうすることで、間延びする選考期間や、採用ハードルが上がった書類選考や面接にも継続的にモチベーションを持って対応できます。
9~10月期の具体的な転職スケジュール
具体的には以下のようなスケジュールで進めます。
8月のスケジュール
2~3月期同様に重要になってくるのは自己分析になります。ただし9~10月に合わせた、スピードよりも多くの視点を得ることを重視した自己分析を行ってください。
8月時点で経歴の振返りを行いますが、加えて早い段階から複数の転職エージェントと面談をして下さい。転職エージェントは会社だけでなく個人によってもその特徴が違います。例えば、メーカーに強い、金融業界に詳しい、エージェント個人が元々技術者畑の出身であるなどです。さらに、人間なので考え方や相性の違いも大きいです。
あなたの気づいていない特性や志向から、思わぬキャリアプランを提示してくるエージェントに出会えれば、視野の広い転職活動が可能となります。さらに、あなた自身でも求人サイトで数多くの求人を見て下さい。先輩情報などで、異業種や異職種から転職してきた方をクローズアップしている求人も多いです。経歴の振返りと共に、数多くの求人や意見を貰うことで、様々な角度からあなたのキャリアプランが固まってきます。
お盆休みの2周目や3周目には経歴の振返りを中心に行い、自宅で求人サイトを見ると共に、転職エージェントの申込も行ってください。4周目、5周目でできるだけ転職エージェントに会い、キャリアプランを考えてみてください。その過程で自然と応募する企業の条件は固まってくるはずです。
9月のスケジュール
9月は実際に求人が増えます、ただし手当たり次第に行っても採用ハードルが上がっている為、厳しいです。ここで、8月の活動と自己分析が生きてきます。応募する条件は決まっていますが、そもそもの求人数が多いことと、複数の転職エージェントを利用していることで、自分の志望度が高い企業がそれなりの数あります。
書類の内容や面接のことを考えると、バラバラの応募傾向よりも、そもそもの採用可能性が高い同業種×同職種の募集に絞って選考を受けるほうが合格の確率があがります。
10月のスケジュール
10月には同業種×同職種で応募できる求人が減ってくるはずです。さらに、モチベーションが低下しやすいです。採用ハードルがあがり思わしい結果が出ないことに加え、選考結果の知らせも遅いため、転職を初めて行う人にとっては一ヶ月間しか転職活動を行っていなくとも心理的負担が大きいです。
そこで、10月は異業種×同職種など新たな分野に目を向けましょう。営業なら不動産業界からIT業界、研究者なら化学メーカーから食品メーカーといった具合です。異職種でも、販売職から営業職、営業職からコンサルタントなど経験はなくとも、スキルや適性を活かした転職は数多く有ります。
もちろん、同業種×同職種で希望する求人も継続して応募して下さい。重要なのは、応募する求人の数を減らさないことと、モチベーションを保つことです。さらに一度リセットする意味でも、別の転職エージェントに面談を受けるのも1つです。
11月のスケジュール
ここが最後の砦となります、10月に応募した企業の内定が出なければ引き続き転職活動を行います。求人自体は減っていますが、追加人員が必要な企業や外資系を含む12月決算の企業は人員数を確保するために引き続き採用活動を行っています。
ただ、年末に向けて現在の仕事が忙しくなり、転職活動が手につかなくなる可能性もあります。その場合は、思い切って2~3月期の転職活動に切り替えて、一旦転職活動を止めるのも1つの戦略です。
先に、2~3月期の転職活動にてお伝えした通り、既に自己分析が完了し、書類選考や面接経験のあるあなたは、非常に有利になっています。下手に妥協した転職をする位なら思い切って、2~3月期に切り替えましょう。
まとめ
最後にお伝えしたことを簡単ではありますが、まとめてみます。
- 転職の時期としておすすめは、年間通して2~3月と9~10月の2シーズンがある
- メリットは、応募できる求人の多さと、多くの求人に出会うことでキャリアプランが広がる
- デメリットは、ライバルである転職者が増えること、其々の採用環境からくる選考スピードの早さや採用ハードルが高まること
- 2~3月期はとにかくスタートダッシュがポイント、正月休みを含めた1月の行動で決まる!
- 9~10月期は2段階で攻略、しっかりした自己分析に加え視野を広げることとモチベーション維持に重点を置く
2~3月、9~10月、ちょうど半年のスパンで転職にベストな時期がありますので、いつにすれば良いか迷っておられるのならお伝えしたスケジュールで転職活動を勧めてみて下さい。